2018年12月27日木曜日

光条のうんちく話

星を撮影していると、明るい星に光の筋というか線がはねだして写ることがある。これは光条と呼ぶらしいが、なぜこんなふうになるのだろうか。物理学には詳しくないのでネットで調べると、どうもレンズの絞りが関係しているようだ。他にニュートン式反射望遠鏡だと斜鏡の支持金具スパイダーの数が関係しているようだ。絞りやスパイダーの数で条線の数が決まるようで、奇数だとその2倍で偶数だとその数そのままという事である。カメラレンズの絞りの数はレンズによって異なり、6枚とか8枚が多いようだ。反射望遠鏡のスパイダーはなし、1本、3本、4本があり、所有している物は4本のものはない。ただし、絞りを使わないで開放で撮影すれば、なしという事になる。これは数によっては変なパターンになるので、気にする人もいるようだ。
ところで星を丸い小さな点で写す事は、レンズや望遠鏡にとってなかなか難しい事のようである。流れて線になったり、変形して三角やひし形になるレンズもある。三角やひし形なら特殊効果と考えられなくもない。ただ、これもシステムの個性と考えている。以下にプレアデスの明るい星を例に示す。

 スパイダー、絞りなしの事例(光条はなし)
 スパイダー3本なので光条は6本のパターン
よく撮れているが、星が三角形になっている。レンズはスパイダー、絞りなしなので光条は出ないはず。

2018年12月19日水曜日

自作・改造鏡筒の成果がすごい

天体改造カメラのテストをしようと考えた。このカメラは感度を高くできないので、レンズは明るいほどよいと考えた。所有している300mmから500mmの望遠鏡やカメラレンズでF4から5までが対象と考えたが100mmの自作鏡筒もF6だが試すことにした。何日かかけてそれぞれのシステムで撮影した結果、自作鏡筒と改造鏡筒の結果はすばらしい事が判明した。傾向としてはカメラレンズよりも望遠鏡のほうが解像度はいい結果であった。なんと現状の一位は100mmF6鏡筒で、114mm改造鏡筒もフラットナーを追加すると2番か3番という印象を持っている。フラットナーがないと周辺画像が大きく流れるのでだめだが、入れると流れが目立たなくなりすばらしくいい画像になる。
これらのシステムは自分の創意工夫で作成した、自分オリジナルのシステムなので大変うれしい結果である。
以下に成績上位を示すが、全て絞り開放で撮影している。このカメラでは絞って画質を上げる手段は使えないのである。

 100mmF6自作鏡筒
 114mm改造鏡筒 FLは360mmくらいと思う
 ビクセン80mmF5鏡筒 色収差があるがいい画像だと思う
カメラレンズのペンタックスSMC500mm F4.5

2018年12月16日日曜日

ベランダから2重星団を撮影する

我が家のベランダは南向きで、北極星のある北方向には屋根があるので撮影範囲が限られている。これまで撮影できた北限はM51銀河の赤緯47度が最高である。これより北だと屋根に遮られて撮影ができない。ペルセウス座の2重星団は何度かトライしたが、屋根すれすれに写る状態であった。もう少し撮影範囲を広くできないか考えてみた。結果目標天体とカメラの位置関係内に屋根がなければよいので、カメラのベランダからの高さを上げればよさそうだ。そこで三脚を35センチのばしてやると大当たりで、難なく撮影ができたのだ。2重星団は赤緯57度なので、この方法で10度撮影範囲を広げられた。


無事撮影できた2重星団(200mm望遠)
GPS撮影なので追尾は少し流れている。システムからの情報では4分くらい追尾可能と表示されるが、K-5でもとても無理で上の画像は50秒ほどである。

2018年12月9日日曜日

サンシュユの実

今年300円くらいで購入したサンシュユに実が付いた。赤く熟しておいしそうに見えるが、グミと同じで食べられるが渋みがある。ジャムなどに加工して食べられるが、この実は食用というより薬用の方が有名であるようだ。まだ少量なので利用方法を考えるまでもないが、大量になるようだと将来考えないといけないかも。今年もあと少しで終わるが、来年に向けて期待できそうなのが、ホワイトサポテである。暖冬の影響なのか庭の木にかなりの数の花芽がついており、一部は開花を始めている。今年は収穫ゼロなので来年は期待できそうだ。



2018年12月6日木曜日

コンデジで星野撮影してみる

一眼で撮影しているので、今更コンデジで撮影する必要はなさそうだが、どの程度撮影できるのか興味があった。この好奇心こそ私の趣味の原動力である。
天体、特に星雲星団を撮影するにはそこいらに転がっているコンデジでは難しい。最低限必要な要件がある。一つはISO感度、二つ目はマニュアルのフォーカス、三つめはマニュアル露出で長秒露出ができる事である。これらの条件を満たすデジカメはあるが、中古でも非常に高価である。そこでこの下のレベルにあるネオ一眼というジャンルの機械で探すと、送料込みで3000円のがあった。外観は通常の一眼と同じで大きさも変わらない。ただ、画像センサーが1/1.6サイズのCCDセンサーで小さく、レンズを交換できない違いはある。このカメラでISOは1600と若干低いが30秒露出で300mmレンズで撮影ができる。
実際にやってみると、少し勝手は違うがデジタル一眼より簡単に撮影はできる。センサーの大きさと感度の低さのハンディはあるが、撮影は可能であり画質にこだわらなければ記録写真としては使えるレベルである。

 使用したコンデジ finepix s9100
 オリオン大星雲
プレアデス星団
ぎょしゃ座の散開星団

2018年12月3日月曜日

ゴーストの撮影

これは幽霊の撮影に成功したということではない。ゴーストと言ってもレンズのゴーストの事で、霊の方ではない。天体を撮影している時に月が出ている事はよくあることである。GT-68のテスト撮影の時に気がついたが、強いゴーストが出ている。この鏡筒は光軸などに関係なく、傾斜方向からの強い光に対してゴーストが出やすいレンズと思われる。レンズの中心基準でゴーストの反対方向に月がある。試しに超長いレンズフードを付けるとゴーストは消えた。この鏡筒は定評が高いレンズで、高精度なのであまり良くない環境だと出やすいのかもしれない。その後月がない状態でテスト撮影に望んだが、その結果は満足できる内容だった。現行の基準機のファミスコは改造機なので、再現性の点から私的良像基準機をこれにしてもいいのではと思う。以下に作例を示すが、これを撮影したカメラはローパスフィルターレスのためか、ゴミの映り込みが出やすい欠点がある。

 画面左に強いゴーストが出ている
作例 アンドロメダ
 作例 プレアデス
作例 オリオン星雲

2018年12月2日日曜日

初めて馬頭星雲をとらえる

今年は比較的暖かいが、オリオン座の季節がやってきた。オリオン座と言えば、いつも撮影している大星雲のM42が一番有名である。オリオン座にはこの他に地味なM78星雲とかがあるが、三ツ星のあたりにある馬頭星雲も有名である。赤い星雲をバックに黒い暗黒星雲が馬の頭状に浮かび上がっているやつだ。だがこれを撮影するのはとても難儀で、まず空が暗くないと上手くいかないと思っていた。今回天体改造のデジタルカメラのテストをしていて、撮影してみたらその存在をなんとか認めるくらいは撮影できた。無改造でもこれらの撮影ができると言われている富士フィルムのX-M1と、天体改造したオリンパスのE420でテストしてみた。結果X-M1では何とか痕跡程度はわかるくらいは写せた。E420ではそれよりも明らかにその存在を認める程度まで撮影できた。古いカメラなのでISOがX-M1の半分以下の1600までしか上げられないが、それでもよく写っている。ただし、ノイズも大きく赤カブリも大きいので画像処理が大変そうだ。こんな市街地でも写るのは驚きであり、天体改造の威力もすごいものだ。

 X-M1での撮影 かすかに痕跡は認められる
 E-420で撮影した画像 
バラ星雲も撮影してみた。

2018年12月1日土曜日

ミードLX90にLNTを増設

故障続きのミードのETX-90は稼働率が低いのでLNTモジュールをLX-90へ移植する事を考えて実行した。同じことを考えるのは外国でも同じで、海外サイトの情報を解析して配線パターンを決めた。ただし、このLNTモジュールは不具合があり、日付と時間を衛星から取得できないようだ。ボタン電池は交換して電源の問題はないので、チップか回路の問題だと思われる。日付と時刻は手動入力だが、方位と姿勢のセンサは正常なので、この機能は使用できる。電源を投入してセットすると、おもむろに自分で動き出して方位と水平を決める様子はまだるいが、微笑ましい光景である。という結果で、残念ながらGPS受信して自動でセットアップするLX90-GPSにはバージョンUPできなかった。

 LNTモジュールを増設したLX90-EMC
 中央のが増設したLNT

2018年11月26日月曜日

ジャンク品のリスク

私の趣味を一言で表現すると、何というのだろう。そうだね、ジャンク品を利用した天体撮影という事かな。私の保有機材は新品で購入したものも少数あるが、その多くの機材はオークションやリサイクルショップで購入したジャンク品である。ジャンク品は安価な反面、ゴミになる危険もある。そのいい例がミラーレンズである。都合4点購入したが、3点は外れで天体に使用するには不向きな結果であった。これは、事前のネット情報などでは不十分で最終的には使ってみないとわからないというのが結論である。これはミラーレンズに限らず、他の機材にも共通する事項である。最後に購入したタムロンのSP-55BBが唯一何とか使えるレベルのミラーレンズだった。他は収差による歪みで星が点に写らない結果だった。無駄なものが出来てしまう反面、期待していないが意外に使えるものがあったする事もあるので、こうした発見も趣味の一環ととらえている。結果使えなかった3点も天体撮影には向かないのであってレンズとして使えないわけではない。これがジャンク品再生の醍醐味なのかね。

 唯一使えるミラーレンズ これもカビありのジャンク品だった。
レンズキャップは廃品利用の自作品。
これで撮影した画像 他のレンズに比べて特に優れているという訳ではない。
ミラーレンズの長所 色収差が目立たないメリットはある。

2018年11月25日日曜日

屈折望遠鏡の光軸合わせ

これまで屈折望遠鏡の光軸は意識した事がなかった。今まで所有している望遠鏡は光軸を合わせる機構もないのでそのまま使っていた。今回入手したGT-68は光軸調整のネジがついている。おきまりでカビありのジャンク品なので、分解してカビはとれたが光軸を合わせる方法がわからない。ネットで調べると専用のアイピースというか冶具を使用して合わせるようだ。私はこれまで反射望遠鏡はレーザーコリメーターで合わせているので、光軸アイピースは所有していない。そこでこれを応用して対物レンズの下に鏡をおいてやってみると、それらしく出来た。厳密にはこれでは不正確かもしれないが、今までの状態を考えると多少はましなのではと思う。この方法で所有している鏡筒を調べてみると、大体は合っているがジャストな状態ではない。一部の機種は調整もできないので、ずれた状態でそのまま使うしかないようだ。





2018年11月16日金曜日

ズームレンズを見直す

ズームレンズは画質が劣るため今まで購入しなかった。果たして本当にそうなのか、少数だが所有しているレンズは確かに画質がよくないと思う。収差が大きくて星が点に写らないとか、周辺部で流れが大きいとか、周辺減光が大きいなど様々である。これらの点が改善されれば、ズームレンズのメリットが十分発揮できるのだ。何点か評価の高いレンズが入手できたのでテストしてみた。入手したのはタムロンの30aと19ah、それとトキナーのat-x828である。これらの共通点は明るく、F値が一定という事があげられる。19ahだけ通常のガラスレンズで他はLDやSDなどの特殊ガラスを使っている。
テスト撮影の結果、これらのレンズで撮影できた画像はシャープで申し分ない。私的な目的ではこれで十分といえる。この世界は上を追求すればきりがないのだが、安価に簡単に短時間でそれなりの成果が得られれば私はそれで満足なのである。3つのレンズそれぞれが使えるレベルにあり、甲乙はつけがたいが自分の印象としては30aがいいと思う。

 左からat-x828、30a、19ah
 19ahの画像 色収差はあるが画像はシャープだ
 30aの画像 19ahに加えて色収差もよく補正されている
atx-828の画像 SDレンズで色収差は取り切れていないが画質に不満はない

2018年11月12日月曜日

反射望遠鏡の改造

主鏡径114mmで焦点距離500mmの短焦点反射望遠鏡を入手したのだが、性能が全然良くない。球面鏡なのはいいとしても中心部から周辺部まで良像エリアが全くないというひどい状態である。これではさすがに使えないので改造に着手した。主鏡を100mmのFL600mmの放物面鏡に入れ替えて、副鏡も50mmの大きなものに入れ替えた。500mmの筒に600mmを入れるので中心部遮蔽が大きくなるが仕方ない。短焦点の反射は光軸がずれやすくシビアなので調整が手間取ったがなんとか合格圏まできた。ちなみにミードのDS2114のエクステンダーレンズを外した改造鏡筒は、同じ球面鏡でもさらにFLが短く条件がよくないが、中心部はシャープである。こうでなくては望遠鏡としての価値がない。

 改造後の反射望遠鏡 筒外焦点距離が長い
 口径遮蔽50%のでかい副鏡
この 改造望遠鏡で撮影したアンドロメダ
ミード改造望遠鏡での撮影

2018年11月11日日曜日

ETX70最終形

壊れたETX70が最終的に行き着いた形は、モーター駆動システムをコスモウィングに移植して駆動ギヤを赤経50枚、赤緯40枚で制御する形になった。最初動かしていたスカイドリームの赤道儀は赤経軸の精度不良で追尾の要求仕様を満たすことができなかった。私が所有する赤道儀は自動導入・自動追尾と自動追尾のみの2タイプで4台ある。ビクセンのGP+EQ5GOTO、SP2軸駆動、NP1軸駆動とこのETX70改造赤道儀の4システムだ。ビクセンの赤道儀は全て200mmでの自動追尾60秒以上の基準はクリアできたが、ETX70改だけ未達成であった。どうも最終駆動のギヤの歯数が20枚と少ないのが影響しているようだ。そこで追尾に必要な赤経側は50枚とほぼ限界まで歯数を大きくした。この条件でテストしたところETX70改もめでたく基準をクリアできたのだ。ただし、搭載能力は最も小さくて2キロ程度と思われる。しかしETX70ベースなので当然自動導入・自動追尾のシステムである。
これにて2カ所での撮影をそれぞれ2システムで行える体制ができたのだ。

ETX70改造(コスモウィング)
追尾精度は向上したが、負荷能力は低い。
GP+EQ5GOTO
保有している中で最も高精度で高負荷なシステム
SP2軸駆動
駆動は2軸あるが、機能的には1軸で十分 と思う。精度と負荷能力はGPと同じ程度。
NP1軸駆動
モーターシステムが古いので追尾精度はぎりぎりセーフくらいかな。




2018年11月4日日曜日

サイクルポートの再生

先月初めの台風は大きな被害をもたらした。Rayoが住んでいた小屋は暴風で吹き飛んでしまい壊れてしまった。それでも分解して修理を続けてやっと再起ができた。強い風で大分いたんでいるので補強をしないといけない。このごろジャンクレンズの修理を続けている。個体数もだいぶこなしたので、経験値が向上しこのごろはカビだけでなく、白濁やバルサムギレなど難易度の高いのも直している。レンズも人間と同じで歳を重ねると白内障と同じようになるのは驚いた。白くかすんだようなレンズでも再生すればいい画像が得られるのである。テスト撮影してみたが、かなり古いレンズで2群4枚の単純なレンズ構成だが比較的よく写っている。使用した感想はピントの山がわかりにくいレンズだと思う。レンズ設計の古さだけは直しようがないという事だね。

             上棟中のサイクルポート
              カビ+白濁のレンズ
清掃修理後
このレンズで撮影した画像

2018年10月23日火曜日

GPS撮影機の工作

長らく休止状態にあったGPS撮影機を工作してみた。問題はGPS撮影時追尾がかかるとGPS装置と架台の両方で追尾するので結果が思わしくない。GPS撮影中は追尾を止めないといけないのだ。このため架台は赤道儀である必要はなく経緯台で十分である。試行錯誤の結果100円で入手したコスモウィングの架台を経緯台にしてDS115のモーターユニットを取り付けた。このシステムに494オートスターをつないで自動導入から撮影までスムーズにできる。可動域での干渉が上手く避けられないのでこの形におちついたのである。この赤道儀はなんと赤経・赤緯ともウォームギヤ全周駆動で歯数が144枚もある。強度的には小型で華奢だが、用途的には十分である。GPS撮影は300mmくらいが限界かなという印象を受けているので、さほど重いレンズを搭載する事はないからである。




2018年9月11日火曜日

ベランダ撮影の要件

これまでのテスト結果を総括してみると、やはり高ISOで短時間露出も限界が見えてきた。ベランダからは北極星は見えないので、正確な極軸合わせが難しい。だが、この設定はとても重要なので、なんとか近似的に最適な方向を再現性あるやり方で決める工夫が必要である。何度かの試行錯誤を経て、概ねこの方向でセットすればよい場所を特定できた。その効果は絶大で、分単位の露出が簡単に安定してできるようになった。ベランダなので毎回同じ位置へセットできるが、野外だとこうはいかないであろう。現在どこまで露出が可能かテストしている段階である。目安として200mm以下なら5分までいけそうだが、実用的には3分くらいか。400mmだと90秒から120秒くらい。720mmでもテストしてみたが、60秒でも流れは目立たない。この設定で撮影すると下の画像のようなのが得られる。当然今までで最もよい結果である。これでいろいろなレンズや鏡で、様々な天体を撮影していける。

400mmでのアンドロメダ
           720mmでのアンドロメダ
720mmでのM33(回転花火銀河)